囲碁の名人と、コンピューターソフトが対戦して、話題になりました。
結果はコンピューターの4勝、人間の1勝。
コンピューターの圧勝でした。
でも僕は、人間の1勝には大きな価値があると思います。
そもそも、人間とコンピューターでは、考えるスピードが違いすぎます。
持ち時間的に、大きなハンディがあるのです。
そんな中、名人が打ったのは、あまり打たれることがない手だったそうです。
この珍しい手への対処に手間取り、コンピューターが悪手を繰り返したのが、敗因だったとか。
コンピューターは時間があれば、いくらでも考えられます。
ただし、ルール上、時間は有限です。
時間を測り、どこかで割り込みをかけて、考えを中断して次の手を打たなければなりません。
それまで考えた範囲で、一番いいと思われる手を。
しかしながら、考えるべき範囲が巨大になったとき、有限な時間で出せる答の精度は、どうしても低くなります。
一方の名人は、長年の知恵と経験と、それに基づいたひらめきがあった。
時にはセオリーを無視したり。
だから、突拍子のない手が打てた。
この辺は、まだまだコンピューターが真似出来ないところだと思います。
でも…、
負けたコンピューター側も、きっとうれしかったと思うんです。
僕もExcelVBAでプログラムを組みますが、いくら机上で考えても、試験的に動かしても、やっぱり実際に動かすと、不具合が出ることが多い。
もっと言えば、不具合が出ないプログラムなんて、あり得ないんです。
でも、その不具合を直すには、その不具合を実現するしかない。
これが実は非常に難しい作業で、制作者だと、どうしても思い込みが邪魔をする。
こんなことは起こらないと、決めつけてしまうんです。
なので、他の人に動かしてもらうのが、一番いいのです。
不具合が起これば、原因を突き止めるチャンスが生まれる。
そして対処出来れば、プログラムはもっと強くなる。
コンピューターは名人に勝つことで、自信になったでしょうが、負けたことこそ、得る物が大きかったのではと、そう思うわけです。
今回はソフトにとって、名人を相手にした、壮大なデバッグ作業、だったのかも知れませんね。
ただ、人間側も、今度の経験を活かすことが出来ます。
4回も負けてますからね。
お互い切磋琢磨して、また時間をおいて、再戦してもらいたいですね。
また違った、面白い戦いになると思いますよ。