父と、第九の演奏会に行きました。
指揮者・古澤直久氏の「年末に第九を!」との呼びかけで結成された、第九特化のプロアマ混成管弦楽団です。
この公演を知ったのは、お馴染み「酒処押上文庫」に来ていた、お客さん。
その方はプロのマリンバ奏者で、この第九ではティンパニを叩くらしい。
この店は、こんな素敵な縁も、あるのです♪
会ったのは一度だけで、顔も覚えられなかったけど、「是非来て!」と言うので、チケットを買ってみたわけです。
父が「第九大好き!」でしてね♪
場所はメルパルクホール。
開演!
最初の曲は、O・ニコライの喜歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲。
軽妙で、楽しい曲ですね♪
そしていよいよ、第九の演奏、華々しく開始!
久々に聴きましたよ。
前の方の席で!
“真面目に!”
有名なのは第4楽章ですから、特に若い頃は、それまでの3つの楽章を、“いかに流すか”が、聴くポイントでした。
失礼ながら。
でも、そんな聴き方は、もったいないと知りました。
特に見直した、いや、聴き直したのは、第3楽章。
大変美しい、その中にも緩やかな変化がちりばめられていて、実は大変聞き応えのある楽章だと感じました。
弦をはじく音が、楽団のあちこちから起こって、まるで楽団を飛び回るようだったり、弓を大きくくねらせて、独特な音を奏でたり。
いろいろと発見もありましたよ。
“生演奏”ならではの、発見です。
やっぱり、オーケストラを前にしての生演奏は、CDとは違った楽しみがあります。
音は三次元的な、広がりが感じられます。
いや、肌で感じる響きを加えたら、四次元かも知れません。
奏者のちょっとした動きや表情が、発見だったり。
指揮者なんか、踊るようでしたよ。
実は僕より、年下の方なんだそうです。
そうそう!ティンパニの音も、響いてましたね~♪
今回は経緯から、打楽器にも注目して、聴いてみました。
来るかな?来るかな?来るかな??ってね。
ここぞってときに、「ズッドーーン!!」って来ましたね!
そう、ためてためてためて、一気に!
存在感がすごかった!
響きを、力を、存分に感じましたよ。
第4楽章の合唱団も、素晴らしかったです。
皆さん、楽しそうに歌ってましたね♪
歌う喜びが、存分に伝わってきました。
ソリスト4人組は、舞台の後方からの歌唱だったので、ちょっと不利だったかも。
テノールの声が、印象的でした。
父はアルトが気に入ったみたい。
とにかく、愉しい演奏でしたね。
父も気に入ったようで、「来年も、また!」だって。
第九が好きな父。
年末になると、第九嫌いな母を尻目に、大音量でCDをかけたがり、僕には「どこか第九に連れて行け!」とせっつく。
その訳が、わかったような気がしました。
父が、第九が好きなわけが。
祭に、似てるんです。
父が大好きな、祭に。
祭は祝詞や儀式など、意味を知らない素人には、決して楽しくない部分があります。
一方で、御神輿のお宮入りなどは、誰も彼もが、ワッショイワッショイ盛り上がります。
そんな中でも、
盛り上げるだけ盛り上げて、鎮める。
盛り上げるだけ盛り上げて、鎮める。
このリズム、第九の第4楽章に、似てません?
全く私見ではあるんですが、この辺の波のような盛り上げ方が、日本人に宿る祭のリズムに、よく似てるような気がする。
日本人に合う曲だと思うんです。
そもそも年末=第九は、ドイツの慣習としてあったのを輸入したらしいのですが、どうも貧乏楽団員が年を越せるように、という面もあったようです。
大編成に合唱まで加わる第九は、多くの音楽家たちが参加できるし、なおかつ“必ず”観客が入る、数少ない演目なのです。
演奏終わって、大拍手の中、カーテンコール。
興奮の中、再び指揮者が演台に立つ。
実はプログラムには、このような印刷がありまして。
アンコールは、「蛍の光」
これも、年末の曲ですよね~
日本では紅白歌合戦の締めくくりとして、藤山一郎氏の指揮で合唱(現在は平尾昌晃氏)、残りわずかとなった今年を、送る曲になりました。
ひとしきり演奏された後、指揮者がこちらを振り返る。
「さぁ、一緒に歌おう!」と。
観客もみんなで合唱♪
感動の、大団円となりました。
会場も巷も、新年を迎える準備が、既に進んでいます。
明くる年が、皆さんにとって、良い年になりますように。