今週のお題「あの人へラブレター」
湯河原郵便局時代。
事務の補助として、貴方は突然やってきましたね。
アルバイトとしてだけど、聡明で、しっかりしてて。
聞くべきことは、ちゃんと聞ける人でした。
だから、僕にもたくさん、質問してきましたね。
実は、初めて会ったときには、電気が走ったんですよ。
ドキドキッ!ってね。
でも僕は、「貴女のことは何も想ってないように振る舞うには、どうするか?」
そんなことばっかり考えていました。
何にも、知らなかったから。
女性との付き合い方を、振る舞い方を。
本当は気になって気になって、しょうがないのに、「嫌いじゃない」っていうのが精一杯で。
そんな僕を、貴女は笑って受け入れてくれましたね。
仲良くもしてくれましたね。
飲み会なんかでの思い出が何も、残っていないのは、やっぱり意識してたのかな?
デートなんかももってのほか!なんて思ってました。
そのうち僕は、うつ病になり、さらには転勤になり。
転勤後、真鶴の駅でばったり会ったのが、最後でした。
一言二言、近況を話したかな?
その後、僕は病状悪化で退職。
二度と、貴女には会えなくなってしまいました。
でも本当は、貴女に会いたかった。
ひと目でも、一言の声でも、いいから。
声を聞くために、郵便局に電話をかけようかとも思いました。
きっと、貴女が電話を取ってくれると思ったから。
実は湯河原にも出かけて、郵便局の近くも通りました。
貴女が出てこないかな、と。
でも、どちらもできませんでした。
いや、しなかったといった方がいい。
もう、貴女は僕のものにはなり得ないから。
弟と同じ年の、貴女。
きっと今は、幸せな家庭を、築いているでしょうね。
そのままで、いいです。
僕のことなんて。
「嫌いじゃない」としか言えなかった、未熟な男のことなんて!!
でも、今でもやっぱり、忘れられないんです。
今だったら、言えるかも知れない。
「好き」だって。
何もかも、遅すぎるけどね…