帰り。
「宇宙戦艦ヤマト」の真田さんの話になって。
声優を務めた青野武さんの、追悼動画を見つけたそうです。
亡くなったのは、もう随分前。
2012年だそうです。
真田さんは、ヤマトの中では参謀であり、技術者でもあります。
作戦立案に、技術的な裏付けを与える人で、僕や相棒も、仕事的には重なる部分が多いです。
科学者ですが、科学のすごさの他に、怖さもよく知っていた人でした。
だから、決して技術一本槍や、科学に頼りっきりではなく、「人間は科学を超えたもの」として、「科学は人間が制御すべきだ」という考え方を、最後まで貫いた人でした。
僕も、そう思いますね。
未知の科学技術は、わからない部分は推測でしかありません。
それを推測のまま進めてしまい、地震で大きな損害を被り、まだ後始末の目処が立っていないですが、これだって、制御出来る範囲外の技術を利用したからだと思うんですよね。
確かに、原子力発電は燃料コストが安いですが、実はたかだか、ボイラーの役割しか果たしていません。
その後始末に、何十年の歳月と労力をかけることになったわけで、果たして見合ったのか?という疑問は、持っています。
身近な所では、コンピューターに頼り過ぎ、何でもコンピュータにやらせたり、コンピューターで完結するようなシステムを作ってしまうと、コンピュータは暴走を起こし、人間を滅ぼすかも知れません。
与えられた命題が、「人間の排除」だった場合、それを正確に、かつ高速に、実行しますからね。
だから、どんなに機械が優秀でも、どこかに人間が関わる部分を残しておかないといけないと思いますし、制御出来ない技術は、利用すべきではないと思うんです。
あくまで人間が、科学や技術を制御するんです。
人間のために。
「AI(Artificial Intelligence)」は、今は大量のデータを検索して、より合う答を見つけるぐらいの利用の仕方ですが、それでも怖さを覚えるのは、「人間の関わる部分が、どんどん減っていく」から。
「人間なしでも何でも出来る」なんて、いいキャッチコピーになりそうですが、それが人間を滅ぼす可能性だって、あると思っています。
僕としても、ヤマトの乗組員の中で、一番刺さったのは真田さんであり、目指すべき人物像だと思っています。
真田さんは、そのこと、科学や技術を利用する上で、一番重要な所を知っていたから。
機械や技術の根本のところを知らないと、真田志郎という人物像は、出てこないと思います。
付け加えるならば、人間とコンピューターでは、得手不得手があります。
コンピューターは、何万回でも同じことを繰り返し、正確に答えを出せますが、何か不具合があると、エラーを出して止まってしまう。
時には制御不能になり、システムを再起動しなければならなくなることもあります。
パソコンレベルなら一瞬ですが、実用的なシステムだと、再起動は大変なリスクのある決断で、時間もかかるし、失われるものも多いです。
一方、状況の対処力、判断力は、まだ人間の方があります。
コンピューターは、より良い選択肢を提示することはできますが、あくまで確率です。
複数のもっともらしい選択肢から、総合的に、よりベターな選択を決断するのは、やはり人間だと思います。
対処だって、大手町駅から東京駅への行き方で、「歩くのが一番早い」という答を出したのは、人間でした。
(地点により異なります)
今は乗換案内も、この答を出しますが、こういう大胆な発想の転換は、人間は得意だと思います。
と言うか、コンピューターの対処能力は、これまでの人間の対処の蓄積なんですよね。
そういう意味では、コンピューターが独自の方法を編み出すまでには、至っていないそうです。
僕も最近の仕事では、マクロを組むにしても、人力を加えることが多いんですよ。
コンピュータが不得手な所は、人力でやればいい。
その方が、柔軟性のあるツールになります。
全部マクロで組もうと思うと、いろんな状況に、事細かく対応したプログラムを書かないと、エラーが出ます。
人ならやらないことも、想定しなければなりません。
非常に大がかりになり、作る方が大変な、本末転倒な状況になります。
それに、「最後は人間が確認した」資料の方が、特に上の方には、資料の正確性を信じてもらえます。
コンピューターのチェックは、通り一遍しか出来ませんからね。
なので、人間と技術、そしてそれを仲立つコンピューターは、協働の関係が理想だと思っています。
それぞれの得手不得手を理解してね。
でもそれでも、上位に君臨するのは、やはり人間でなければならないと思っています。
さらに、LINEの会話で。
シャロSさんも、「真田さんになりたい」なんて言ってましたね。
IT(Information Technology)系の僕とは、系統が違う分野の人ですが、技術は技術。
技術を学び、極め、利用するという立場に立つなら、真田さんは格好にして、最大の目標だと思いますよ。
ただ、
「最後、突貫工事でシステムを作り上げ、テストなしに運用して成功させた」ことを挙げていましたが、僕としては、真田さんも本当は、テストをしたかったんだと思いますね。
システムが大きければ大きいほど、不具合も出ます。
状況的に、不具合が起これば致命的でしょうからね。
テストで、不具合を未然に潰したかったと思います。
でも、「それが許されない状況」があるのも事実。
圧倒的に時間がない、人が割けない、それでも成功を求められる、という状況は、宇宙戦艦ヤマトでなくても、あると思います。
その時、覚悟を決めて、ゴーを出したのは、真田さんにとっても、大きな賭けだったと思いますね。
上手く行かなかった時の、責任も背負って。
ギリギリの、渾身の仕事だったんだと思います。
話は、さらに進んで。
真田さんの、「参謀」としての顔。
真田さんは、後に艦長になる古代に、技術的に意見する立場でした。
でも、僕の印象が確かなら、「決定的にマズい状況に陥る選択でなければ、止めなかった」と思うんですよね。
確かに、意思決定をする権限があるのは、館長です。
とは言え、まだ若い古代に対して、最初はモヤモヤを感じていたじゃないだろうか?
でも、多くの決断に彼も同意したのは、「艦長・古代を育てる」意志があったんじゃないかと思います。
真田さんは古代のことを、「実の弟のように思っている」と語ったそうです。
だからこそ、若い古代艦長の意志を最大限に尊重して、自らも運命を共にしたんじゃないだろうか?
放任とは、違います。
結果が悪かったら、真田さんが責任を取ったでしょうから。
そこまで気概を持って、後進を育てようとする人が、今どれくらいいるでしょうか?
僕も、そうありたいと思っています。